アニメ『ID:INVADED』の最終話を見て思ったことの覚書(ネタバレあり)

アニメ『ID:INVADED』のネタバレを含みます。




















最終話で富久田保津のイドの中のコックピットに裏井戸を閉じ込めて、そしてコックピットを破壊して、富久田は死んだから富久田のイドはもう更新されないことで裏井戸をイド内イドに閉じ込めてるわけだけど、まるでこれは地獄の番犬ケルベロスみたいだと思った。三つの頭を持つ。これは富久田が地獄の番人として裏井戸を閉じ込めていることそのものでもあるし、酒井戸、聖井戸、穴井戸、の三人の名探偵が、それぞれの意志と働きと運命で裏井戸を封じ込めたこと=ケルベロスの三つのそれぞれの頭、のようでもあるし。3が好きだった富久田のイドの中のイドでは、早瀬浦は逮捕されて罪を償い、そしてあの世界では富久田保津は生きている。現実のレベルに於いて富久田が死ぬことで、彼のイドは永遠にあの形で固定され、そしてそのイドの中のイドでは富久田が生き続け、鳴瓢と本堂町と共にイドに潜ることで捜査を続けている。つまり最終話で本堂町が早瀬浦に言った「どのレヴェルでも」の言葉を借りるならば、三人の名探偵は、現実・富久田のイド・イド内イド、の、三つの世界の、どのレヴェルでも、カエルちゃんを救うために戦い続けている。3は良い数字だ。と勢いで書いてから気付いたけれど、富久田のイドに関しては戦いを終えていると言ってもいいから、ある意味で現実以上に富久田の死による不在を強く感じるし、(そういえば富久田のイドは最初に潜った時のようにカエルちゃんと犯人である穴開きは相変わらず登場しているはずだから、早瀬浦を閉じ込めたコックピットの残骸の周囲には穴開き自体は徘徊していて、それはそれで番人っぽい感じはする。あの世界の主だし。じゃあやっぱり富久田のイドの中で富久田は戦い続けていると考えても良いんだろうか?)。現実で富久田は死んでいるのに戦い続けていると矛盾したことを書いてしまったので、じゃあこの矛盾にも何か意味があるはずだとここで俺は考える。現実で富久田が行ったことの影響が一番つよく残ったのは、生き残り名探偵となった本堂町で、じゃあ本堂町が――頭に穴が開いたことで本来の私になった本堂町が手に入れた、欠けたものが欠けていないように見える特性は、富久田が彼女に遺してくれたギフトのようで、そしてそのギフトを手に入れる行為の、自ら頭に穴を空ける本堂町の姿によって、富久田はあの間違った連続殺人から解放され名探偵になったことを。富久田のドリルで穴が開いた本堂町は、富久田の穴開け動機を塞ぎ、そしてイドの中で富久田の頭の穴も塞いでみせた。欠けている富久田が本堂町には整って見えたから。これは救いという以上に継承や融合に近いんじゃないか?本堂町は誰よりも富久田に近づいて、そして追い越していったのだから。きっと彼女の穴は富久田よりも涼しいのだろう。