自身の鬱病の治療について

 できるだけ正確に簡潔に記すことを誓います。

 

 私の状態:極めて重度の抑うつ状態にある。

 受けている治療:投薬とカウンセリング。

 生活:無職であり昼夜の逆転した不規則な生活。

 病名・診断:鬱病の診断は出ていない。アスペルガーADHD、パーソナリティ障害等の検査も受け、どれにも該当せず。

 自身の認知:極めて悲観的に偏っている。また、普通の人が送る普通の生活というものへの強い憧れと執着があり、それと自分の現状との落差によって苦しんでいる。

 

 自身の現状への理解を助け、また、これを読む人への伝達の一助として以下を援用する。

 

 社会心理学者ヒギンズによる「セルフ・ディスクレパンシー理論」というものがある。

これは、人の動機付けや、それによって発生する感情の違い、有体にいえば個人個人の持つ偏りを、目標と現実の差異によって説明する理論である。

 このモデルでは自己像を以下の三つに分類する。

現実自己……現実の自分自身の状態。これは必ずしも事実を意味するわけでなく、本人が「自分の状態」として認識しているものが現実自己となる。つまり認知の歪みによって、間違った思い込みをしている場合、それが現実自己になる。現実モデル。

理想自己……本人が望む自分のかたち、もっと良くありたいという願望や理想を理想自己と呼ぶ。理想モデル。

当為自己……本人がこうあるべきだと感じる義務感や責任感により描かれる自己像のかたち。社会的規範等に則った正しい在り方、を求めた自己像。当為モデル。

 

 これら三つの自己像の差異が大きければ大きいほどストレスは強くなる傾向にある。

 

 私の場合の現実自己は、無職で重度の抑うつ状態にあり、大学への進学を希望するも学習ができず、就労も叶わず、創作活動もできない状態。

 私の理想自己は、大学進学のための学習をしながら、就労し、創作活動も行うこと。または、それらのうちどれか一つでも叶うこと。

 私の当為自己は、大学進学か就労のどちらかを選び邁進すべきである、というかたち。

 

 私の現実自己の状態を私ができるだけ平易に適切に認識すると、今の状態では何を行うのもよくないほど鬱が悪化しており、治療と休養が必要である。

 私の理想自己は、私の現実自己の状態を認識できておらず、無理にすべての欲求を叶えさせようとしているため破綻している。

 私の当為自己は、私の現実自己の状態を認識できておらず、また、その有り様を否定している。実際にはやるべきではないことを、やるべきこととして強要し私の現実自己との間に大きな隔たりを設けている。当為自己は鬱病の治療に対しても懐疑的であり、服薬とカウンセリングへの意義を見失っている。

 

 これらの差異をセルフ・ディスクレパンシー(自己矛盾)という。この自己矛盾の大きさが、主に当為自己の苛烈な自己嫌悪による暴走、無理に社会へと適合させようとすることによって拡大を続けており、ストレスが増大している。

 理想自己と現実自己の差異は、失望、失意、不満、落胆、悲しみを発生させる。

 当為自己と現実自己の差異は、社会的な何らかの制裁を予期させ、不安、焦燥、恐怖、緊張、動揺を発生させる。当為自己そのものが現実自己への怒りを持つ。

 

 これを受けて私が考える私の治療のプランは以下になる。

1、診察とカウンセリング、服薬を続けること。

2、理想自己を縮小し、実現可能な範囲の小さな目標へと設定しなおすこと。

3、当為自己を縮小し、べき論から現実自己を解放するために、こうあるべきだと思う理想や自己像を、現実から乖離させるような思考を避けること。また、そういった乖離の働きを助長するような情報を知覚しないようにすること。

4、十分な睡眠と食事と適度な運動をストレスのなく無理のない範囲で実行すること。

5、生活は昼夜逆転しており不規則だが、無理に規則正しい生活を自分に強要しないこと。

6、常にセルフ・ディスクレパンシー理論における自己像の3つのモデルを想起し、自分の内外で発生するストレスのうち、どの差異を何が助長しているか、またどの自己像が現在どのような状態にあるか書き留めることで自身の現状を記録し認識し続けること。それによる当為自己の矯正を図ること。

 

 

 以上が私の現状になります。