2013-03-26 わるくなる 詩 三叉路に立っている 裸婦 曳かれていく船の傾きを指差して あんなのは国じゃないと 裸婦 三叉路から歩き出す 街の半分くらいは彼女の敵だったけれど それでも街を通りすぎる 廃バスの中に飼われて 眠って 味の薄い果物の薄皮が剥けて 微笑んでいる たばこの灰を受け止める子供の手のひらに 温度を願う 樹上生活者が落ちてくるのを ずっと待っている警官のポケットから はみだしている写真の かどの 折れ具合を 見ている 街はずっと見ている ドーナツとコーヒーが届けられて 歩きつかれたままの 重たい耳にチャイムが鳴らされる たばこの灰を受け止めた子供の手のひらは いまドアに触れて