わるくなる

三叉路に立っている

裸婦

曳かれていく船の傾きを指差して

あんなのは国じゃないと

裸婦

三叉路から歩き出す

 

街の半分くらいは彼女の敵だったけれど

それでも街を通りすぎる

 

廃バスの中に飼われて

眠って

 

味の薄い果物の薄皮が剥けて

微笑んでいる

たばこの灰を受け止める子供の手のひらに

温度を願う

 

樹上生活者が落ちてくるのを

ずっと待っている警官のポケットから

はみだしている写真の

かどの

折れ具合を

見ている

 

街はずっと見ている

 

ドーナツとコーヒーが届けられて

歩きつかれたままの

重たい耳にチャイムが鳴らされる

たばこの灰を受け止めた子供の手のひらは

いまドアに触れて