2019年に映画館で観た新作映画

2019年に映画館で観た新作映画を振り返ってみます。
まずリストアップから。

・1月
『アリー/スター誕生』
『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』
『緊急検証!THE MOVIE』

・2月
サスペリア』(ルカ版)
マイル22
『THE GUILTY / ギルティ』

・3月
アリータ:バトル・エンジェル
ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー
スパイダーマン:スパイダーバース』
『ちいさな独裁者』

・4月
『ブラック・クランズマン』
『バースデー・ワンダーランド』
『グリーンブック』

・5月
バイス
ビル・エヴァンス タイム・リメンバード』
『ザ・フォーリナー/復讐者』
『プロメア』

・6月
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』
『神と共に 第一章:罪と罰
海獣の子供
『ウィーアーリトルゾンビーズ
イングランド・イズ・マイン モリッシー、はじまりの物語』

・7月
『ゴールデン・リバー』
『きみと、波にのれたら』
『さらば愛しきアウトロー
『天気の子』
『Diner ダイナー』

・8月
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』

・9月
『メランコリック』
『劇場版 おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』
『ライリー・ノース 復讐の女神』

・10月
『ジョーカー』

・11月
アイリッシュマン』

・12月
『ドクター・スリープ』
『ゴーストマスター』
『羅小黒戦記』(ロシャオヘイセンキ)



2019年1月に観た映画から。
・『アリー/スター誕生』
何度もリメイクされる『スタア誕生』(『栄光のハリウッド』から数えると4回目のリメイク)。
1955年のジュディ・ガーランド主演の『スタア誕生』までは映画界の話だったのを1976年のバーブラ・スライザンド主演『スター誕生』の際に音楽業界の話に変更したので、『アリー/スター誕生』もそれを受け音楽業界の話になってます。ですが演出は1976年版、脚本は1955年版やそれ以前のオリジナルに近い形。
レディー・ガガ演技上手いな……と思って見終わったらエンドロールで俳優養成所アクターズ・スタジオの故・誰それトレーナーに捧ぐ、と献辞が出てきて、そもそもレディー・ガガブラッドリー・クーパーと同じくアクターズ・スタジオ出身なんですね。オリジナルの『栄光のハリウッド』や1937年版・1954年版『スタア誕生』にて描かれたハリウッドの栄光と悲劇、のテーマ的にはアクターズ・スタジオのメソッド演技法が齎したアメリカ映画と役者の人生への影響の光と影が、現実のそれと作劇のそれにオーバーラップするのかなと思います。音楽映画に翻案されたリメイクでありながら、その点において1976年版よりもオリジナルに近い。
書いてて思いましたが観てすぐに書いた感想はもっと内容や音楽についての新鮮な喜びだったのに1年経ってからだと沿革と関係性の話ばっかりになってるので、また改めて観たほうが「まだ観たことない人に向けて」のセールストークができるな……。
良い映画だったのでまた観たいです。後述する『ゴールデン・リバー』『ドクター・スリープ』にも通じるんですけど、飲んだくれの親によって心に傷を負わされた子が、自身も後年にアルコール依存症になってしまうの、実際よくある話だけど世知辛いし何度似たような話を見聞きしても悲しい。



この調子で全部の映画について同じ文量を書くのはまた今度にして今日の分は駆け足で。

・『A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー』
成仏映画だー!今年は良い成仏映画が6本ありました。『A GHOST STORY』『サスペリア』『きみと、波にのれたら』『神と共に』『ドクター・スリープ』『ゴーストマスター』です。やっぱり成仏映画ってジャンルとして強いですよね……。『海獣の子供』もそうかもしれない。よく考えると色んな映画は実は成仏映画なんじゃないか?
死後の長い旅の中で苛立ちや悲しみを募らせながらも何もできず世界を見守り続けて……壮大なサイクルから自分の人生へと帰ってくる。ユニークかつ優しい。

・『緊急検証!THE MOVIE』
オカルト検証のテレビ番組の劇場版なんですけど、めちゃくちゃ爆笑してしまった。途中でプロフェッショナル仕事の流儀みたいな一幕が入ったりするし何見てるのかよくわかんなくなった。映画が始まる前に入口でスプーン曲げ用のスプーンを渡されて、劇中ユリ・ゲラー本人に「さあ、皆さんも私と一緒にスプーンを曲げましょう」と指示されて劇場のみんながスクリーンに向かってスプーンを掲げながらマガレ……マガレ……!と念じる一幕があって、これ一体なんの体験?ってなりました。後にも先にもスプーン曲げ挑戦上映はこれしかないと思う。

2月に観た映画。
・『サスペリア
陽射しの中の暖かな愛……みたいな終わり方して泣いちゃった。戦争の後の罪の意識の話、として理解したんだけど、そういうストーリーラインとテーマや描かれる世相よりも、身体を捻じ曲げる呪い転写バレエだったり、暗闇の母がサングラス掛けてたり、トムヨークの音楽だったり、真っ当に怖い部分やなんか面白い部分が良くて観てて楽しかった。スローのとこちょっとダサく感じちゃう。オリジナルとは完全に別物なのでリメイクではなくて「ルカ版」だと思います。

・『マイル22
せっかくアクションかっこいいのにカメラワークとシーンの繋ぎ方が微妙で、アクションの良いところを良い角度から映してくれないしテンポが鬱陶しいので勿体なさがすごかった。時系列的に本編の事件を後日談として語る主人公の語りが頻繁に挿入されるの、マジでめちゃくちゃテンポ悪い。要らなくない?緊迫する事件の合間に「あの時、俺は勘違いしていた……」みたいな語りを何回も入れてドキュメンタリー番組みたいにするのおかしくないですか?でもそれを思い出すとちょっとまた観たいかも。強敵の倒し方が派手すぎて逆にサマにならなくて笑っちゃった。似たようなアクション映画だとああいう倒し方はかっこいいはずなんだけどな……。

・『THE GUILTY / ギルティ』
警察署の管制室で通報を受けるオペレーターが主人公の映画。全編通してずっとカメラは管制室の中。主人公が通報の内容に耳を澄ますとき、観客も一緒になって固唾を呑んで耳を澄ます。緊張感や絶望感がすごいし、元は外回りしてた警官(外回りっていうのかな?巡査か)だった主人公がなんらかの理由でオペレーターにさせられていて、その勤務も今日まで!という最後の日にかかってきた一本の通報の電話から物語が始まる。スリルがすごかった。観終わったあとにタイトルを見て納得する。


3月以降に観た映画は記事を分けます。