灰クリーム
2014/05/24(土)
今日はSさんとBさんと一緒にスタジオへ行った。
Sさんがギター、Bさんがベース、私がドラムだ。
ドラムを叩くのは久しぶりのことだった。事前にスコアのコピーを渡されていたものの見ていてもまるでイメージが掴めずに、結局当日になって初めて通して演奏したので「なんだこれは」とまごつく。でも一ヶ月練習していても叩ける気があんまりしない。8分で入るハイハットとスネアが重なる部分の合間、16分の1拍だけスネアをずらすのが挿入されていて、それが基本の繰り返しパートだから毎度毎度スネアに間違えてハイハットを被せて「うわー!ごまかせごまかせ!」と慌てていた。
ごまかせない。ごまかそうとする前に落ち着いてゆっくり叩くべきなんだけど、落ち着きがないし勇み足でタッタカしていた。
スコア無視して簡単にアレンジするのも事前に済ませておいて、そっちを練習しておく、というのをやる癖をつけたい。
ドラムめっちゃ楽しい!
スタジオを出たあと喫茶店へ行ってオレンジチーズケーキを食べた。オレンジチーズケーキって分離とか凝固とか大丈夫なの?みたいなことをぼんやり考えているけど別に何も問題なかったはずだ。おいしいので良し。
ふたりが煙草を吸っている中ゆっくりゆっくりケーキを食べながら色々と話をしていた。色々と話していたせいで具体的に何を話していたのかを説明しづらい。あんまり長時間ずっと座って話していたせいでBさんは腰が痛くなりSさんは「座ってると痔になるんですよ」と言い出してしまった。もう最近は誰も彼もが痔の話をする。現代人は誰もが当痔者だ。
Sさんの注文していたシナモントーストにはホイップクリームが付属していて、そのホイップクリームが最初は白かったはずなのに、いつまにやら、まるでクッキークリームのようになっていた。勿論クッキークリームではない。
Sさんの灰皿の内側がなめらかなカーブになっていたのと、Sさんの吐息が若干荒いためか、灰皿の中に息が吹き付けるたびに灰がテーブル中に舞い散って、かなり広範囲に飛ぶ。
灰だった。灰クリームなのだ。ニコチンとタールのホイップ。
うっかり食べそうなくらい見た目はクッキークリームなので危なかった。というか今ものすごく調子が悪いので実は食べちゃったんじゃないかという気がする。
家に帰ってから、遅く帰り着いたこともあり夕飯の支度を何もしていないので近所のレストランへ。
遊んでおしゃべりして帰ってきてから、また食事をして喋り続けていて「トークジャンキーなのか……?」と不安になってきた。
ジャンキーといえば、欧州では大麻が買えない貧しいギャングがあじさいを盗んで大麻の代わりにしているらしい。
あじさいを盗むギャング。花盗人ってそんなものだったろうか。
花の美しさゆえに一枝を折って帰る。生活のためにあじさいを盗む。なんだろう。この困窮の度合いの違いは。銀の食器を盗んだ男に銀の燭台も渡してやるような気持ちが自分の中にある。味をしめてまた盗みに来たら次は銀の弾丸をくれてやるんだけど、あじさい盗んでる人には何をしても無駄な気がする。あと全然関係ないけどあじさいの毒でも銀は変色するのかな。