夢日記を3分で書く

 夢の内容を覚えていることが多いので、それを完結に手短にさらさらとまとめて書き起こすことで何かの訓練をした気になりたい。

いったい何の訓練なんだ。

 

 私は街の中心を通る道路の幅を広げるために用地買収を進めるべく下見をしていた。最近この街では連続婦女強姦殺人が発生していて、下見に来た道路でも警官たちが検問を張っている。

この書店には少しばかり後ろに退いてもらう必要があるな、と思案していると、ふと書店のガラスに映り込んだ自分の背格好がいつもと全く違うことに気付いた。ていうかこれ女の子じゃん。やばい。そういう夢じゃなかったのに女の子になってる。明晰夢だろうか?と訝しむが、そんなに自由に行動できるわけではなくて、女の子になっていることに少しも動じずに夢は続く。

ひと通りの下見と、土地の所有者たちへの連絡や相談を済ませて、私は車に乗り込む。

乗り込んだ瞬間にひとりの人物が目に止まった。連続殺人犯だ。唐突すぎるし何故その人が犯人だと分かったのか全く脈絡がないままに私はアクセルを思いっきり踏み込む。ここでやつを殺すのだ!この街のために!ぱひゅんという軽い衝撃がボンネットに響き、殺人犯はものすごい勢いで上に吹っ飛んでいた。空にゴム紐で繋がれていたんだろうか。

帰宅してコートを脱ぎベッドに倒れこむ。いつのまにか私は殺人犯に首を絞められていた。恐怖より何よりもうんざりする気持ちが爆発しそうになった。さっき殺したじゃないか。負けじと首を締め返そうとするが腕が上手く届かずに締められない。仕方ないので車に乗り込んだ。どうやって?場面は転換し路上にいる殺人犯めがけて再びアクセルを踏み込む。首を絞められている。アクセル。苦しい。衝撃。今なにがどうなっているのか分からずにじたばたともがく。絶対にタップしないぞ、と場違いな決意がよぎる。これは試合じゃないのに。

 

 急に別の夢に変わった。神社の境内だ。壮年の刑事と極道の鉄砲玉と女子高生ふたりが4人で話し込んでいる。4人は連絡先や書類を交換したのちに別れていった。まだ首に締められた感触が残っている。さっきまでの夢はたぶん続いているんだ、となんとなく思う。

 

 ベッドの上に戻る。視界は真っ白だった。せっかく女の子になったのに殺されるのは嫌だなあ。そんなことを考えているとすっと身体に力が戻る。なぜか殺人犯は事切れていて、私は彼を小さく折り畳んで紐で縛ると、ぐちゃぐちゃになったベッドを綺麗にしてから寝直した。

 

 また違う夢が始まる。ヤツメウナギをたくさん捕まえた人が嬉しそうに手を振っている。その人の背中には無数の穴があり、そこからウナギが出入りしている。なんかこういう生き物がいたな。背中を見ているのに手を振られている。ふと不気味になって目を逸らす。

 

 赤ちゃんを抱きかかえて全力で走っている。一休みすると既に赤ちゃんは動かなくなっていて、そこで目が覚める。ショックのあまり起きてから暫く泣いた。

 

どう考えても3分以上かかってるし全く簡潔ではない。だめだ。夢日記をつけるのは心身によくないという話があったけれど確かにそんな気がする。夢の内容を覚えているのも同じくらいよくないのでは。